人生で諦めない方がいいと思うものと、諦めてもいいと思うものについて、少し書いておきます。
まず諦めない方がいいと思うものは、今世(現世)で追求したい内的な目標です。
内的な目標とは、今世を使って、どんな存在になって、何を感じたいのかという願望(欲求)のようなものです。
これは、じっくり考えて決めたのなら、途中であきらめないで追求していくことをお勧めします。
次に諦めてもいいと思うものは、内的な目標を達成するための外的な目標(手段)です。
外的な目標(手段)は、それがうまく機能する見込みがなければ、ある程度で見切りをつけ(諦めて)、変更していけばいいと思います。
私のサロンに、声優になりたいという夢を抱いている方がお越しになることがあります。
夢を持つのは大変結構だと思いますし、それが叶えばとても素敵なことでしょう。
しかし、以前にも書いたのですが、声優という職業はとても狭き門です。
希望する全員が、それで生計を立てられるようになる職業ではないでしょう。
うまくいったらそれはそれでいいのですが、うまくいかなかった場合、なぜその職業を選んだのか? その職業を通してどんな内的な欲求を満たそうとしていたのか?
これらを自問自答してみるのがいいです。
例えば、声優になることで、人気者になり、他者から認められたという感覚が欲しかったのかもしれません。
また、人気声優になって、お金持ちになり、豊かさを感じたかったのかもしれません。
私たちが外的な目標を持つとき、無自覚であっても、ほとんどの場合、内的な目標(欲求)がそこに潜んでいます。
なんとなく会社で出世して偉くなりたい。という外的な目標でも、出世することによって自由が増えることを内側で望んでいるということもあります。
繰り返しますが、通常、外的な目標は内的な目標を叶えるための手段のひとつにすぎません。
ですから、外的な目標と内的な目標(欲求)を天秤にかけたとき、内的な目標を優先する方がいいと思います。
叶えるのが難しい外的な目標を闇雲に追い続けるより、自分の内的な目標をしっかりと認識し、それを叶えることのできる、もっと簡単な外的な目標(手段)に移行することをお勧めします。
仮に、声優で成功して人気者になり、承認欲求を満たすことが目的なら、もっと競争相手が少なくて、自分が簡単に上手くできる分野で承認欲求を満たしてもいいのではないでしょうか。
このとき、他者の成功は脇に置いておく方がいいです。
『あの人は諦めずに頑張って成功したんだから、自分も諦めずに頑張るんだ!』という考え方は、かなりリスキーです。
たんに成功したその人にとっては、それが他の手段より簡単だったから諦めなかっただけかもしれませんから。
他人は他人、自分は自分。
自分のやりやすい方法(手段)で、内的な目標を諦めずに追求していきましょう。
追伸:諦めることの大切さを教えてくれる本を紹介しておきます。
陸上選手の為末大さんが、メダルを取るために100m走を諦め、400mハードルという手段に切り替えていった話がためになります。